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第22話 私を知っている

last update Veröffentlichungsdatum: 03.09.2026 06:01:33

 翌日。午後二時を回った頃。

 真帆はノートパソコンの画面を閉じ、スマートフォンの画面に表示された地図アプリを見つめていた。

 午前のミーティングが早く終わり、午後の予定までに二時間ほどの空白ができていた。

 行かない理由を探すことは簡単だった。仕事のメールをチェックし、洗濯物を畳み、夕飯の下ごしらえをすればいい。だが、一度胸に芽生えた毒芽は、昨夜の温かい夕飯を経てもなお、根を腐らせてはいなかった。

 画面に表示されているのは、隣町の閑静な住宅街の一角にある古民家のアドレスだった。

 二ヶ月前の地域ワークショップの告知サイトから辿り着いた、個人主催の児童向けアトリエ。

『アトリエ・みずき 造形と絵画の教室』

 講師の名前に、水城沙耶とあった。

 真帆は上着を羽織り、車の鍵を掴んだ。

 自分の目で確かめなければ、息ができない。悠人の言葉を信じたい自分と、足元が崩れていく違和感を無視できない自分。その板挟みのままでは、七海の顔をまともに見ることすらできなくなってしまう。

 車を走ら

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     沙耶の指先が、真帆の服の生地をきつく締め上げた。 その爪が白く変色するほどの力だった。「今度こそ……って、どういうことですか?」 真帆が問うと、沙耶の瞳が激しく揺れた。「あの人は……壊れているんです。自分では絶対に悪気がないと思っているからこそ、誰も止められない……。自分の思い通りに家族が動かないと分かった時、あの人は……」 沙耶の言葉が詰まった。 息を荒げ、胸を押さえる。過呼吸に近い状態になりかけていた。「何があったの? 九年前の事故の時、何があったんですか!?」 真帆が沙耶の肩を掴み、問い詰めた。 沙耶は涙に濡れた目を固く閉じ、頭を左右に振った。「分からない……分からないんです……!」 沙耶の声が、歪んで響いた。「事故の時……車の中で離婚の話になって……悠人さんが『家族を壊すな』って叫んで……。私は助手席側から何かが大きく動いたのを見たの。ハンドルが急に重くなって、制御が効かなくなって……」 真帆の息が止まった。「……悠人が、ハンドルを……?」「分からない! 警察にも、悠人さんにも『お前が取り乱して急操作したんだ』『俺は何もしていない』って言われ続けて……! 何度も何度も言われているうちに、自分が間違っていたんだって……自分の感覚の方がおかしいんだって、そう思い込まされて……!」 沙耶は自分の頭を両手で抱え込み、小さく丸まった。「私……見たものはあるんです。確かに見たの。なのに、あの人に違うって言われ続けて……今は、自分の方を信じられない……!」

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